生肉は与えていい?生肉を与えるときの注意点

ブリーダーや飼い主の方の中には生肉を猫に与えている方もいらっしゃいます。

生の筋肉および内蔵部分は嗜好性、消化性に富み、適切にビタミンやミネラルが補填されていれば栄養価も高いと考えられます。猫に生肉を給餌する有益性は証明されていませんが、加熱により損なわれる栄養素があるのは確かです。

しかし、生肉を与えることでサルモネラ菌や大腸菌などの細菌、トキソプラズマなどの寄生虫に感染するリスクも考慮しなければいけません。

トキソプラズマ症とは!?

昔、マスコミによりトキソプラズマ症は猫から人、妊婦から胎児に移る恐ろしい感染症であるとして世間を大変混乱させました。正しい知識もないままにマスコミの情報だけが一人歩きをし、未だに猫に恐怖心を抱かれている方もいらっしゃいます。

トキソプラズマは寄生虫の中でも原虫と呼ばれる真核単細胞の微生物の一種です。

健康な成人が感染しても無徴候か、数週間の風邪様の症状を呈す程度ですが、胎児・幼児、臓器移植患者やエイズ患者など免疫抑制状態にある場合には重症化して死に至ることもあります。しかし、寄生虫による感染症はその感染経路を知ることで予防でき、必要以上に怖がる必要はありません。

トキソプラズマの感染経路

トキソプラズマは人や鳥を含む幅広い脊椎動物を中間宿主とします。終宿主はネコ科の動物ですが、ネコ科の動物は中間宿主として役割を果たす場合もあります。

トキソプラズマの人への感染経路は、食肉からの感染、猫の糞便に由来する経口感染が主と考えられています。

・食肉:トキソプラズマに感染した羊肉・豚肉・鹿肉・鶏肉などを生のまま、あるいは加熱不十分のまま食すことで感染します。
トキソプラズマは食肉中にはシストと呼ばれる状態で存在しています。シストは室温でも数日、4℃なら数ヶ月生存できますが、適切な熱処理や冷凍処理で不活化できます。
また食肉を生で扱った後の包丁やまな板などを十分に洗浄せずに使い続けることで他の食材や手を汚染する可能性もあるので注意が必要です。

・猫:トキソプラズマに感染した猫から人への感染経路は、感染猫が排泄した糞便中のトキソプラズマの経口感染です。
この糞便中にはトキソプラズマはオーシスト呼ばれる状態で存在します。オーシストとは接合子嚢とも呼ばれ、消毒などに対する抵抗性は高いですがシストと同様の処理で不活化できます。
感染経路の例として、猫のトイレ掃除、猫の糞が混じた環境での作業(園芸や砂場遊びなど)で手に付いたオーシストが口に入るなどが考えられます。しかし、感染猫がオーシストを排出するのは初感染時の数週間に限られており、また猫のトイレ掃除を行った手のまま食事をするというのは通常の人の生活では考えにくいので、実際にはこのようなケースは少ないと言えます。糞便中のオーシストは未成熟であり、成熟して感染力を持つようになるまで数日を要するため、こまめにトイレ掃除をすることでさらに感染のリスクを小さくすることが期待されます。
このことから、通常の飼い猫であれば感染源としてはそれほど重要ではないと思われます。

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妊婦さんが気をつけること

トキソプラズマの感染経路には妊婦から胎児への経胎盤感染もあります。妊婦が虫血症になると、トキソプラズマが胎盤を介して胎児に伝染し、先天性トキソプラズマ症を患わせる可能性があります。そのリスクは感染時期によって異なり、妊娠初期の感染では低率で、妊娠後期〜末期にかけて上昇します。しかし、これは通常妊婦が妊娠中にトキソプラズマに初感染した場合にのみ起き、また仮に妊娠後半に初感染しても実際に胎児が先天性トキソプラズマ症を発症する割合はかなり低いと言われています。

トキソプラズマの感染経路、感染リスクについての知識が十分にあれば必要以上に猫を怖がる必要はありません。それでも、猫を飼っている、あるいは動物を扱う仕事をしているという方で不安な方は、妊娠がわかったときにトキソプラズマ抗体を調べるとよいでしょう。抗体が陽性であればすでに初感染は済んでいると考えられ、妊娠中に再感染しても胎児への影響はないと考えられます。抗体が陰性であれば感染経験がないということになり、初感染に対する注意が必要です。つまり、妊娠中一貫して陰性であれば問題ないのですが、最初は陰性であったが陽転した場合は胎児が先天性トキソプラズマ症を発症する可能性があるということになります。この場合であっても早期発見・早期治療で先天性トキソプラズマ症の発症を抑えることができます。

トキソプラズマ感染への予防策

特にトキソプラズマ感染経験がない妊婦さんは予防を徹底するとよいでしょう。「生肉を食べない」、「肉類は十分に加熱する」、「生肉を扱った包丁、まな板、食器は熱湯消毒する」、「調理や食事の前後はよく手を洗う」など食べ物からの感染予防をまず徹底しましょう。猫を飼われている方は「猫に生肉を与えない」、「完全室内飼いにし、ネズミなどの捕食をさせない」「猫のトイレ掃除はこまめに行い(妊婦以外の人にやってもらう方がよりリスクは小さくなる)、処分後はよく手を洗う」などに気をつけるとよいでしょう。

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