犬の怖い病気、フィラリア症について知っておきましょう。

田んぼや水辺の多い日本では、蚊も多く発生します。その蚊が媒介するフィラリア症という病気のため、一晩で犬が死んでしまうような事例がたくさんありました。今では予防法が確立していますが、根絶にはまだ至っていないようです。

フィラリアってなんでしょう?

俗に「フィラリア」と呼ばれるものの正式名称は「犬糸状虫」といい、犬の心臓(右心房が主)に親が寄生し、ミクロフィラリアを産みます。そのミクロフィラリアを蚊が吸い込むと、別の犬に移動した際にミクロフィラリアが移り、それが心臓にたどり着くと、そこで親になり、再び子供を産む、ということになります。

フィラリア成虫は犬の体内で幼虫(ミクロフィラリア)を産みます。
その犬の血を蚊が吸うと、蚊の体内でミクロフィラリアは成長し、感染能力のある幼虫に成長します。
感染能力のあるフィラリア幼虫を体内にもった蚊が犬を刺したとき、感染幼虫が蚊から犬の体内に入って感染が成立します。
犬の体内に入った感染幼虫は約3ヶ月間は皮下や筋肉の中で成長します。
そのあと静脈から血管に入って血液の流れに乗って心臓に向かい、感染から約半年後に心臓や肺動脈に住みついて成虫になります。
生殖機会を得たフィラリア成虫はそこでミクロフィラリアを産み、ミクロフィラリアは血液に乗って犬の全身を流れながら蚊に吸われる機会を待ちます。
このように、蚊と犬の体内を巡回しながら子孫を増やしているのが、フィラリアという虫なのです。

心臓に虫がいるとどうなるの?

犬糸状虫は主に心臓の右心房とそれにつながる肺動脈に寄生します。心臓に体長30センチにもなる虫が入ると、心臓の体積が狭くなり、血液がうまく循環しなくなります。その結果、心臓肥大を起こして運動を嫌がるようになり、循環不全から腹水や胸水が貯留したり、赤い尿(血色素尿・血尿ではない)を排泄するようになり、最終的には死亡します。

【フィラリアに感染してしまったときの症状】
フィラリアに感染してもしばらくは犬になんの症状も現れません。
多くは数年が経過してから症状が現れます。
症状が出てきたときにはすでに重症という場合が少なくありません。
運動をしたあとでもないのにハーハーと息が荒い、ゼーゼー言う、息が浅く速い、ときどき咳をするなどが症状の出始めです。
元気がない、散歩を嫌がる、散歩の途中で座り込む、ふらふらする、突然倒れるなども見られるようになります。
やがて、食欲不振、嘔吐、重度の貧血、寝てばかりいる、お腹に水がたまる、血尿を出すなど重篤になります。
そして、心臓、肺、肝臓、腎臓などが機能不全に陥り、苦しんだ末に犬は死亡します。
部分的な症状しか見ない飼い主さんはフィラリア感染だと思わないことも多く、もう歳だから弱ったのだとか、吠えてばかりいるせいで声が枯れたのだとか、大きな誤解をしている場合もあります。
高年齢になって呼吸がおかしいなと思ったらフィラリア感染を疑うべきです。

治療法はありますか?

内科的方法と外科的な方法がありますが、どちらもハイリスクです。内科的方法では駆虫薬を用いますが、死んだ虫が心臓内や血管、肺で詰まってしまう恐れがあります。外科的方法は、心臓から虫を一匹ずつ取り出すものですが、もともと弱っている犬に全身麻酔を施しての長時間の手術となりますので、とても危険です。

①外科的な摘出術
頚部の血管から細い器具を入れて、
心臓内のフィラリア成虫を直接摘出します。
摘出時に死亡したフィラリアの欠片は、
生きているフィラリア以上に強い症状を起こす
ことが知られています。
『大静脈症候群』を起こし緊急の場合や、
大量のフィラリア成虫が寄生している場合以外に、
外科的に摘出することはまずありません。

②成虫駆虫薬
 心臓内で増殖してしまったフィラリア成虫を駆除する薬剤です。
 駆除された成虫は肺などに詰まり、問題となります。
 手術と同様に、死亡したフィラリアやその欠片が
 強い症状を起こす可能性があります。

③予防薬の長期投与
 通常のフィラリア予防の薬を、通常と異なる飲み方で使用します。
 数年かけて成虫が消えていきます。
 成虫が少なく、フィラリア症の症状が出ていない場合の選択肢です。
 この3種類の治療法の中では危険性の比較的低い治療法といえます。
 フィラリア成虫の数や、ワンちゃんの状態で治療法を選びます。
 心臓のエコー検査や、胸部のレントゲン検査の結果で判断します。

対策はどのようにしたら良いでしょうか?

やはり、予防に越したことはないと思います。日本に住んでいる以上は、どんなに注意しても夏は蚊と遭遇しないとは言い切れませんので、薬で予防するのが最も簡便で確実です。夏の期間、飲み薬を月に1回飲むことで予防するのが主流でしたが、最近は年に1回注射すればOKというような薬も出てきたようです。

【きちんと予防薬を投与すれば感染は防げる】
フィラリアはきちんと予防薬を投与すれば100パーセント防げる病気です。
フィラリア予防薬の投与には3つの方式があります。
ひとつは錠剤・散剤(粉)・チュアブル等のおやつ型など毎月1回口から入れるタイプ。
もうひとつは注射をするタイプ。
そして毎月1回液剤を皮膚に直接滴下するスポットタイプ、この3方式です。
口から入れるものはあとになって吐き出したりしないことの確認が必要ですが、長い年月にわたって薬の実効性と副作用の軽減が研究されているので安心です。

動物病院で処方してもらわないとダメでしょうか?

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